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最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)1338号 判決 1966年11月18日

上告人(被告・被控訴人) 株式会社協和銀行

右訴訟代理人弁護士 中村健太郎

被上告人(原告・控訴人) 河本英次

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人中村健太郎の上告理由について。

原判決(その引用する第一審判決理由を含む。以下同じ。一は、本件預金契約締結ならびに右預金払戻について原判示の事実関係を確定したうえ、本件預金契約は被上告人代理人竹村一次郎と上告銀行との間に成立したものであって、被上告人が本件預金債権者である旨、ならびに、訴外田村は原判示の事情のもとに再発行された通帳および改印後の新印章を所持しこれにより本件預金の払戻を受けたのであるが、上告銀行は田村を本件預金債権者と誤認して再発行の通帳を同人に交付したのであるから、右再発行の通帳および改印後の新印章は、田村が本件預金債権者であるか否かを確認するための資料としては無価値であり、上告銀行が右田村につき本件預金債権者たる外観を有するものと認めた根拠として挙示するところは、原判示の理由により、田村が客観的に本件預金債権者であると考えるに足る外観的資料にあたらないから、同人は本件預金債権の準占有者にあたらない旨説示している。原審の前記事実認定は、原判決挙示の証拠に照らして是認しうるところであり、その判断の過程において所論の違法はない。所論は、結局、原判決を正解せず、独自の見解に基づき、原審が適法に行なった事実認定を非難するに帰するものであって、採用できない。<以下省略>

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

上告代理人中村健太郎の上告理由<省略>

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